洗浄性 抜群!化粧品・香料の生産工程に適したホースは?

製造 現場において、設備や部品の安全性と信頼性は、ものづくりの根幹を支えます。特に化粧品や香料のように、私たちの肌へ直接触れる製品の製造現場では、その品質と衛生管理に極めて高い水準が求められます。
その品質保証の国際的な基準となるのが「化粧品GMP(適正製造規範/ISO 22716)」です。GMPとは、原料の入荷から製造、出荷に至る全工程で汚染や人為的ミスを防ぎ、常に安全で高品質な製品を作り続けるためのルールのことを指します。
この厳格なGMPの要求を満たすうえで、製品を移送する「ホース」の選定は、見過ごすことのできない重要なポイントです。製品を切り替える際の洗浄効率、わずかな臭気の移行、そして異物混入のリスク管理など、ホースに起因する課題は、製品品質に直結します。
本記事では、化粧品GMPの観点からホースに求められる「洗浄性」「低臭気性」「耐薬品性」といった重要な性能を解説します。
加えて、八興の柔軟フッ素ホースシリーズがこれらの現場課題をいかに解決できるのか、具体的な製品と共に詳しくご紹介します。
- 1. なぜ 塩ビホースは化粧品・香料用途に適さないのか?
- 2. 化粧 品・香料の製造現場でホースに求められる3つの性能
- 2.1. 洗浄性 |残液を残さず洗いやすい内部構造
- 2.2. 低臭気性 |香り移りを防ぐ素材配慮
- 2.3. 耐薬品性 |香料やアルコールに対応できる素材選定
- 3. 化粧品 用ホースランキング TOP3
- 3.1. 第1位 |スーパー柔軟フッ素スプリング(ウルトラソフト)(E-SJSPUS )
- 3.2. 第2位 |スーパー柔軟フッ素ホース(ウルトラソフト)(E-SJBUS)
- 3.3. 第3位 |スーパー柔軟フッ素チューブ(ウルトラソフト)E-SJUS
- 4. 導入事例 |実際の使用現場で評価されたポイント
- 5. まとめ |洗浄性・素材特性・実績のある製品で選ぶホース選定
なぜ 塩ビホースは化粧品・香料用途に適さないのか?

化粧品や香料を製造する現場では、ホース選びが製品の品質を左右します。一般的に使われる塩ビ(塩化ビニル)ホースですが、化粧品・香料製造においては使用を避けるべきだと考えられます。その理由は大きく分けて二つあります。
一つ目は、可塑剤の溶出リスクです。塩ビホースには柔軟性を持たせるために可塑剤(フタル酸エステル類など)が含まれており、これが製造中の化粧品や香料に移行する可能性があります。肌に直接塗布される製品である特性上、意図しない成分の混入は品質と安全性の観点から避けなければなりません。
二つ目は、製品の香りを損なう臭気移りのリスクです。塩ビホースには原料由来の特有の臭気があり、これが製品に移ってしまう可能性があります。特に、香りが品質の決め手となる化粧品や香料において、ホースからの臭気移りは致命的です。
製品本来の繊細な香りを損ない、その価値を著しく低下させる原因となるため、塩ビホースの使用は慎重にならざるを得ません。
化粧 品・香料の製造現場でホースに求められる3つの性能

化粧品・香料製造では、「製品に異臭が付く」「洗浄後も汚れが残る」「溶剤でホースが劣化する」といった品質問題がしばしば発生します。
これらの問題は、ISO 22716が求める「汚染等、品質劣化を防ぐ」といった原則のもと、製品品質の確保が求められます。
以下では、これらの品質問題を解決し、GMPを達成するためにも、信頼性の高い製造環境の構築に必要な「3つの性能」について詳しく解説します。
洗浄性 |残液を残さず洗いやすい内部構造
化粧品・香料の製造現場でホースに求められる性能の一つ目は「優れた洗浄性」です。
化粧品や香料の製造ラインでは、異なる製品への切り替えが頻繁に行われるため、ホース内部に前の製品の残液が残ることは許されません。これは、残液が次の製品の汚染や品質低下の直接的な原因となるためです。
例えば、粘性の高い乳液や複数の香料成分を扱った後でも、短時間で完全に洗浄できれば生産効率が向上し、結果的にランニングコストの削減にも貢献します。
このように、残液を残さず容易に洗い流せる「洗浄性」は、ホースに求められる欠かせない要素です。
低臭気性 |香り移りを防ぐ素材配慮
次に、ホースには香り移りを防ぐ「低臭気性」が求められます。 実際に、生産品目を変更する際のコンタミネーション対策は多くの現場で課題となっています。
例えば、製品ジャンルや香りの種類に合わせて複数のホースを用意し、薬液洗浄、ブラッシング、温水での押し流しといった入念な洗浄作業を実施しても、なかなか改善に至らないケースがみられます。
このようにホースには素材本来の臭気が極めて少なく、かつ製品ごとの香りが内部に吸着・残留しにくい設計が求められます。これにより、製品間のクロスコンタミネーションを防止し、本来の香りや品質を維持することが可能となります。
耐薬品性 |香料やアルコールに対応できる素材選定
化粧品や香料の製造では、アルコールや各種薬品を含む原料を頻繁に扱います。そのため、ホースには高い耐薬品性が求められます。
耐薬品性が不十分なホースを使用すると、アルコールや香料成分の影響で素材が劣化し、硬化やひび割れといったトラブルが発生するおそれがあります。こうした劣化は、製品の品質に悪影響を与えるだけでなく、予期せぬ交換や生産ラインの停止といったコスト増にもつながります。
そのため、ホースの素材にはさまざまな薬品に対し長期間にわたって安定した性能を発揮できる耐薬品性が必要です。適切な素材を選ぶことで、薬品の種類に左右されない安定した生産と、安全な作業環境の確保が可能となります。
GMPが要求する品質管理は、より厳格な基準が求められる医薬品の製造現場において、さらに重要となります。化粧品・香料分野だけでなく、製薬業界におけるホース選定のポイントにご興味のある方は、ぜひ以下の記事もご参照ください。
タイトル :製薬の製造工程で洗浄用の溶剤を流しても劣化しにくく溶出の少ないホースは?
化粧品 用ホースランキング TOP3

化粧品・香料製造の現場において、製品品質の安定と生産効率の向上は常に重要な課題です。八興では、これらの現場ニーズに応えるため、厳しい要求性能を満たす柔軟フッ素ホースシリーズを提供しています。
ここでは、八興の豊富な実績に基づき、特に選ばれている3つの製品をご紹介します。これらのホースは、高い洗浄性、低臭気性、優れた耐薬品性を兼ね備え、多くの企業でその価値が認められています。
第1位 |スーパー柔軟フッ素スプリング(ウルトラソフト)(E-SJSPUS )
化粧品・香料製造ラインが抱える多様な課題を解決するE-SJSPUSは、フッ素樹脂の優れた特性を維持しながら、卓越した柔軟性を実現した製品です。
【主な特長】
従来品「E-SJSP」と比較して最大2.2倍の柔軟性を実現。この大幅な向上により、ホースの取り回しが格段に容易になり、作業効率の改善に貢献します。
内層には4フッ化系フッ素樹脂(ETFE系)を採用。化粧品原料に含まれるアルコールや溶剤をはじめ、ほとんどの薬品に対して優れた耐性を発揮。この高い耐薬品性により、ホースの化学的劣化を防ぎ、長期間にわたって安定した性能を維持できます。
第2位 |スーパー柔軟フッ素ホース(ウルトラソフト)(E-SJBUS)
従来のフッ素ホースが抱えていた「硬さ」という課題を克服したE-SJBUSは、優れた柔軟性とフッ素樹脂の多様な性能を両立させた製品です。
【主な特長】
従来品「E-SJB」と比較して最大約40%の柔軟性向上を達成。取り扱いやすさが大幅に改善され、現場での作業性と施工性が格段に向上しました。
さらに、フッ素単層チューブと比較して折れにくい構造を採用。これにより、生産ラインで懸念される流量の不安定化や閉塞といったトラブルリスクを効果的に低減し、安定した生産活動をサポートします。
第3位 |スーパー柔軟フッ素チューブ(ウルトラソフト)E-SJUS
小口径配管のニーズに特化したE-SJUSは、従来のフッ素チューブの常識を覆す超柔軟性を実現した製品です。
【主な特長】
独自の積層構造により、市販のフッ素単層チューブや従来品(E-SJ)を大きく上回る柔軟性を達成。狭小スペースでの配管作業など、これまで困難だった施工も容易に行えるようになりました。
また、溶出物質の要因となる可塑剤を一切含まないノンオイル素材を採用。製品への影響を最小限に抑え、高品質な化粧品・香料の製造に貢献します。
導入事例 |実際の使用現場で評価されたポイント

化粧品・香料製造の現場では、ホースの選定が製品品質と生産効率に大きく影響します。従来のシリコーンゴムホースを使用されていた企業様は、以下の課題に直面していました。
【お客様のお困りごと】
匂いの強い化粧品原料を移送した後、シリコーンゴムホースは匂いが吸着しやすく、完全に除去するための洗浄に長時間と多大なコストがかかっていました。
さらに、無香料製品製造時には、匂い移り(コンタミネーション)を防ぐために新品ホースを使う必要があり、これが大きな負担となっていました。
【柔軟フッ素ホースによる解決】
八興の柔軟フッ素ホースの導入により、これらの課題は解決されました。内層のフッ素樹脂は滑り性に優れ、液残りや匂いの吸着を抑制するため、洗浄時間を大幅に短縮し、コスト削減に貢献。
また、匂い成分の吸着・残留を抑えることで、製品間のコンタミネーションリスクを低減し、無香料製品の安定製造を可能にしました。加えて、フッ素樹脂の高い耐薬品性により、薬液洗浄にも対応し、衛生管理レベルの向上にも寄与しています。
柔軟フッ素ホースの導入は、お客様の現場における品質維持、生産効率向上、そしてコスト削減を実現する具体的な解決策となりました。
まとめ |洗浄性・素材特性・実績のある製品で選ぶホース選定
化粧品・香料の製造現場では、製品の品質と安全性を確保するために、使用するホースには極めて高い性能が求められます。
本記事では、汎用的な塩ビホースが抱える可塑剤溶出やGMPへの対応などの課題について触れつつ、ホースに求められる重要な性能として洗浄性、低臭気性、耐薬品性の3点を解説しました。
化粧品や香料などを製造する工場で使用するホースは、製品品質の確保、生産効率の向上、そしてコスト削減に直結する重要な部品のひとつです。八興の柔軟フッ素ホースシリーズは、お客様の製造現場に最適なソリューションを提供し、貴社のものづくりをサポートします。
ホース選定に関するご相談や、具体的な導入事例、製品仕様の詳細にご興味がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。貴社の課題に合わせた最適なご提案をいたします。
▼八興の化粧品・香料用ホースシリーズ
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