塗装ラインのトラブルを防ぐ!耐溶剤・帯電防止ホース5選

image_Professional,Worker,Staining,Wood,Furniture,With,Spray,Gun.

「ウレタンホースの交換サイクルが、カタログスペックより明らかに短い」
「溶剤で膨潤したホースから塗料が漏れ、ラインを止めざるを得なかった」
「静電塗装ガン周辺の帯電が気になるが、どう対策すればいいかわからない」。

塗装ラインの保全・生産技術担当者であれば、こうした経験や不安を抱えたことがあるのではないでしょうか。

一見地味な部品であるホースも、塗装品質や安全性、生産効率を左右する“要”の存在です。劣化や不具合は、塗装不良や生産停止、火災リスクに直結します。問題の根本には、使用環境とホース素材のミスマッチが潜んでいるケースが少なくありません。

本記事では、塗装ラインで頻発するホーストラブルの原因と生産への影響を整理した上で、トラブルを未然に防ぐためのホース選定の考え方を解説します。

さらに、溶剤・水性塗料への耐性や静電気対策といった要件を満たす具体的な製品として、八興の塗装用ホース5製品を紹介。ホース起因のライン停止を減らし、交換頻度の低減と塗装品質の安定を実現するためのヒントをお届けします。

塗装ラインで頻発するホーストラブルと生産への影響

image_Side,View,Close,Up,Of,Male,Hand,In,Working,Glove

塗装ラインにおけるホーストラブルは、単なる部品の消耗にとどまらず、塗装品質の低下、安全上のリスク、そして生産計画全体への影響へと波及していきます。

ここでは、現場で特に問題となりやすい3つの事象について、その発生メカニズムと生産への具体的な影響を解説します。

ウレタンホースの膨潤・ひび割れが招く塗装不良と漏れ

ウレタン(ポリウレタン)ホースは、柔軟性と耐摩耗性に優れ、空圧機器や一般的な流体移送において広く採用されている汎用性の高い素材です。しかし、塗装ラインで使用される溶剤系インクや洗浄用シンナーに対しては、注意が必要となる場面があります。

ウレタン樹脂は、トルエン、キシレン、MEK(メチルエチルケトン)といった有機溶剤と接触すると、溶剤分子がポリマー鎖の間に浸透し、ホースが膨潤する現象が起こりえます。膨潤したホースは内径が変化し、塗料の流量制御が困難になるため、膜厚のばらつきや塗装ムラの原因となるのです。

さらに膨潤と乾燥を繰り返すことで、ホース表面にひび割れが生じ、最終的には塗料の漏れや噴出といった重大なトラブルに発展するケースも少なくありません。

こうした劣化は徐々に進行するため、日常点検で見落とされやすい傾向があります。気づいたときには塗装不良品が大量に発生していた、という事態も珍しくないでしょう。

静電塗装スプレーガンまわりの帯電と安全リスク

静電塗装は、塗料粒子に電荷を与えて被塗物に効率よく付着させる技術であり、塗着効率の向上と塗料使用量の削減に大きく貢献しています。一方で、この技術を用いる現場では、ホースを含む周辺機器の静電気管理が安全上の重要課題となります。

一般的な樹脂ホースは電気絶縁性が高く、流体の移動や摩擦によって発生した静電気が蓄積しやすい特性を持っています。蓄積した静電気が放電すると火花が発生し、溶剤蒸気への引火リスクが生じるのです。

消防法では、引火性液体を取り扱う設備には静電気対策が義務付けられており、ホースの選定においてもこの点を考慮する必要があります。

また、帯電したホース表面には塗料ミストが付着しやすく、これが剥離して塗装面に混入すると、ブツ(異物付着)不良の原因に。安全面と品質面の両方から、静電気対策は塗装ラインにおける重要な管理項目だといえます。

頻繁なホース交換による保全工数・ライン停止時間の増加

ホースの早期劣化は、直接的なコスト増だけでなく、保全工数の増加とライン停止時間の累積という形で生産性に影響を与えます。一般的な製造現場では、計画的な定期交換によってトラブルを未然に防ぐ予防保全が基本です。

しかし、ホースの劣化速度が想定を上回る場合、交換サイクルの短縮を余儀なくされます。

交換作業そのものに加え、交換後の塗料充填、エア抜き、試し塗りといった復旧作業にも時間を要するため、1回の交換あたり数時間のライン停止が発生することも珍しくありません。

年間の累積停止時間を算出すると、相当な生産機会損失となっているケースが多々あるでしょう。ホース素材の見直しによって交換頻度を低減できれば、保全担当者の工数削減と稼働率向上の両方を実現できる可能性があるのです。

塗装ライン用ホースに求められる性能と選定のポイント

image_Hand,Of,A,Businessman,Drawing,Check,Marks,And,Point,Words

先ほど解説したようなトラブルを低減するためには、使用環境に適した性能を備えたホースを選定することが重要です。

ここでは、塗装ライン用ホースに求められる主要な性能要件と、素材選定の考え方を解説します。

溶剤インク・水性インクに適したフッ素・ポリアミド素材

塗装ラインで使用される塗料は、大きく溶剤系と水性系に分類されます。それぞれに対する耐性を持つ素材を選定することが、ホース長寿命化の基本となるでしょう。

フッ素樹脂(PTFE、PFA、ETFEなど)は、化学的に極めて安定した素材であり、ほとんどの有機溶剤に対して優れた耐性を示します。

溶剤系塗料を扱うラインでは、フッ素樹脂を内層に用いたホースが有効な選択肢です。フッ素樹脂は非粘着性にも優れるため、ホース内壁への塗料付着が少なく、色替え時の洗浄性向上にも寄与します。

ポリアミド(ナイロン)樹脂も、多くの有機溶剤に対して良好な耐性を持つ素材です。フッ素樹脂と比較してコストを抑えられる場合があり、使用する溶剤の種類や濃度によっては、十分な耐久性を発揮します。

水性塗料を使用するラインでは、耐水性に加え、塗料に含まれる添加剤(アミン類、界面活性剤など)への耐性も考慮しなければなりません。

フッ素樹脂は水性塗料に対しても安定した性能を示すため、溶剤系・水性系の両方を扱う現場でも対応できる汎用性を備えています。

静電気対策用ホースで火花・ミスト付着を抑える

静電塗装ラインや引火性溶剤を扱う環境では、静電気対策を施したホースの採用が推奨されます。静電気対策用ホースは、一般的に導電性材料をホース構造に組み込むことで、発生した静電気を速やかに逃がす設計です。

具体的な方式としては、ホース内層や外層に導電性樹脂を用いる方法、補強層に導電性繊維やワイヤーを編み込む方法などがあります。いずれの方式でも、ホースの両端を適切に接地(アース)することで、静電気の蓄積を防止できるのです。

静電気対策用ホースを選定する際は、表面抵抗値や体積抵抗値といった電気特性を確認し、使用環境の要求に適合していることを確認してください。

ウレタンホースからの置き換えに最適な八興の塗装用ホース5選

ここまで述べてきた性能要件を満たす製品として、八興が展開する塗装用ホースシリーズを紹介します。

それぞれの製品特性を理解し、自社ラインの条件に適した製品を選定する際の参考としてください。

ポリアミド内層で溶剤に強い「ペイントフレックス・ナイロン(E-PFN)」

ペイントフレックス・ナイロン(E-PFN)は、内層にポリアミド樹脂を採用した塗装用ホースです。ポリアミドは、トルエン、キシレン、酢酸エチル、MEKといった塗装ラインで一般的に使用される有機溶剤に対して優れた耐性を持っています。

外層には柔軟性の高い樹脂を採用しており、取り回しの良さと耐久性を両立。内層が透明であるため、塗料の流れや残留状態を目視で確認できる点も、現場での作業性向上に寄与します。

溶剤系塗料を主に使用するラインで、ウレタンホースの劣化に課題を感じている場合、まず検討していただきたい製品です。

水性塗料にも対応する「ペイントフレックス・フッ素(E-PFF/E-PFFG)」

ペイントフレックス・フッ素には、E-PFFとE-PFFGの2タイプがあります。いずれも内層にフッ素樹脂を採用しており、溶剤系・水性系を問わず幅広い塗料に対応可能です。

E-PFFは標準タイプであり、フッ素樹脂の優れた耐薬品性と非粘着性により、ホース内壁への塗料付着を抑制します。色替え時の洗浄工程を短縮できるため、多品種生産を行うラインに適しているでしょう。

E-PFFGは静電気対策タイプであり、静電気対策が必要な環境向けに設計されています。静電塗装ラインや、引火性の高い溶剤を扱う工程では、このE-PFFGが適切な選択肢です。フッ素内層による耐薬品性と、導電性による静電気対策を両立した製品となっています。

帯電防止に優れた「ソルベントホース(E-SV)」

ソルベントホース(E-SV)は、溶剤移送に特化した静電気対策用ホースです。ホース外層のラインに導電性を持たせた設計により、静電気の蓄積を効果的に防止します。

特に、塗料の希釈に使用するシンナーや、洗浄用溶剤の移送ラインに適した製品です。溶剤専用ラインとして使用することで、塗料ラインとの混同を防ぎ、現場の安全管理にも寄与します。

耐溶剤性と静電気対策の両方が求められる補助ラインにおいて、有効な選択肢となります。

スプレーガンのエアー供給に最適な「エアーホース・グランドワイヤー(E-AHG)」

エアーホース・グランドワイヤー(E-AHG)は、塗装ブースにおけるスプレーガンへのエアー供給用に設計された帯電防止ホースです。アース線を内蔵しており、エアー流動時に発生する静電気を確実に逃がします。

軽量設計のため、作業者が手持ちのスプレーガンを操作する際の負担を軽減。長時間作業でも疲労を抑えられる点が現場から評価されています。塗料ホースと合わせてエアーラインも静電気対策を施すことで、塗装ブース全体の安全性を高めることが可能です。

まとめ|塗装ラインの安定稼働にはホース素材と静電気対策の見直しを

塗装ラインにおけるホーストラブルは、塗装品質、安全性、生産効率のすべてに影響を及ぼします。ウレタンホースは汎用性の高い優れた素材ですが、有機溶剤を多用する塗装ラインにおいては、より耐薬品性に優れたフッ素樹脂やポリアミド樹脂を内層に採用した専用ホースへの置き換えを検討する価値があるでしょう。

また、静電塗装ラインや引火性溶剤を扱う環境では、静電気対策用ホースの採用が安全確保と品質安定の両面で有効です。

自社ラインで使用する塗料の種類、溶剤の成分、静電気対策の要否を整理した上で、最適なホースを選定してください。八興の塗装用ホースシリーズの詳細については、下記の製品ページをご参照ください。

▼ 塗装用ホースシリーズの製品仕様・サイズラインナップはこちら

image_ftcontact

お問い合わせ

樹脂ホース・継手のトラブルやお困りごと
何でもお気軽にご相談ください!