樹脂ホースとゴムホースの違いを徹底比較|メリット・デメリットと選び方

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「前任者から引き継いだホースをそのまま使い続けている」「納期や価格だけで選定している」そんな心当たりはないでしょうか。

樹脂ホースとゴムホースは、見た目こそ似ているものの、軽さ、柔軟性、流体の見えやすさ、耐久性といった特性がまったく異なります。

この違いを理解しないまま材質を選ぶと、現場では「取り回し負荷の増加による作業性低下」「流体状態の見落としによる品質対応コストの増加」「想定外の交換頻度」といった目にみえる課題としてさまざまな影響が生じるものです。

そこで本記事では、設計・保全・生産技術・購買・品質といった部署横断でも判断基準を共有できるよう、まず選定ミスがもたらす影響を整理し、そのうえで「使用条件」「管理要件」「用途」という3つの軸で候補を絞り込める流れで解説します。

「そもそも樹脂とゴムのどちらが自社に合うのかわからない」「材質選びの全体像から整理したい」といった疑問がある方は、ホース選定の総論をまとめた以下の記事もあわせてご覧ください。
▶ 産業用ホースの種類と用途別選び方ガイド

:樹脂とゴムの選定ミスが、現場のコストと品質に与える影響

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「どちらでも大差ない」と考えて材質を選んでいないでしょうか。樹脂ホースとゴムホースは、それぞれ得意とする環境が明確に異なります。この違いを軽視した選定は、保全工数の増加や品質トラブルという形で現場に跳ね返ってきます。

以下では、選定ミスが引き起こす代表的な2つの影響を整理します。

:交換頻度の増加が招く保全工数とライン停止ロス

「ゴムホースは丈夫だから長持ちする」という思い込みは、選定ミスの典型的な入り口です。

確かにゴムホースは耐摩耗性や耐候性に優れる場面がありますが、重量があるため、頻繁に動かす用途では接続部への負荷が蓄積しやすくなります。一方、樹脂ホースは軽量で取り回しやすい反面、使用温度や接触流体によっては想定より早く硬化が進むケースも存在します。

特性を考慮せずに選定すると、「半年で交換」「また漏れた」という事態の繰り返しに。交換作業の工数だけでなく、ライン停止による生産ロスまで含めると、見えないコストは想像以上に膨らみます。

:異常検知の遅れが招く品質トラブルと手戻り

流体の状態を「見える化」できるかどうか。これは品質管理で見落とされがちな判断軸です。

ゴムホースの多くは内部が視認できないため、流体の変色や気泡混入、残留物の付着といった異常に気づけないまま工程が進んでしまいます。結果として、製品検査で初めて問題が発覚し、手戻りや廃棄ロスにつながるケースは少なくありません。

樹脂ホースには透明・半透明タイプが多く、流体状態をリアルタイムで確認できる製品もあります。点検性を重視する現場では、この「見える」という特性が異常の早期発見を可能にしてくれます。

自社の品質管理において「流体状態の目視確認」がどの程度重要か。この問いへの答えが、樹脂とゴムを選び分ける判断材料のひとつになります。

:比較のための共通チェック軸(軽量・視認性だけで決めない)

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「樹脂は軽い」「樹脂は中が見える」。これらは確かに樹脂ホースの強みですが、この2点だけで材質を決めてしまうと、使用環境とのミスマッチが起きやすくなります。

以下では、樹脂とゴムを比較する前に整理しておくべき「使用条件」と「流体・管理要件」の2つのチェック軸を解説します。

:使用条件(圧力・温度・屈曲・摩耗)を整理する

まず確認すべきは、ホースが置かれる物理的な環境です。

圧力についてはカタログスペックで確認できますが、見落としがちなのが「脈動」や「サージ圧」の有無。定常圧力は許容範囲内でも、瞬間的な圧力変動が繰り返されると、材質によっては疲労劣化が早まります。

温度も同様です。樹脂ホースは高温環境で軟化しやすく、ゴムホースは低温環境で硬化しやすい傾向があります。使用温度だけでなく、洗浄時の熱水温度や季節変動も考慮に入れてください。

屈曲頻度と摩耗条件も重要な判断材料です。ロボットアームや可動部に取り付ける場合、軽量な樹脂ホースは負荷軽減に有利ですが、繰り返し屈曲への耐久性は製品ごとに差があります。

:流体と管理要件(衛生・薬品・エアー)を整理する

次に確認すべきは、何を流すか、そしてどう管理するかです。

食品・飲料ラインでは、可塑剤の溶出リスクや臭気移りの有無が選定基準になります。薬品ラインでは耐薬品性が最優先。エアラインでは耐圧性と柔軟性のバランスが求められます。

加えて、「どの程度の頻度で点検・洗浄するか」「流体状態の目視確認が必要か」といった管理要件も整理しておくと、樹脂の透明性が活きる場面かどうかを判断しやすくなります。

:【一覧比較】樹脂とゴムの特性・メリット/デメリットまとめ

ここまで整理した「使用条件」と「流体・管理要件」を踏まえたうえで、樹脂ホースとゴムホースの特性を一覧で比較すると以下のようになります。社内での選定会議や部署間の認識合わせにご活用ください。

比較項目樹脂ホースゴムホース
重量軽量になりやすい(取り回し良)重くなりやすい(補強構造で変動)
流体視認性透明・半透明タイプあり基本的に不透明
耐薬品性材質差大(PTFE系は高い/汎用品は条件次第)材質差大(EPDM/NBR/FKM等で得意分野が分かれる)
柔軟性材質・補強で差大(硬めも多い)弾性があり柔軟に設計しやすい(高圧補強品は硬め)
劣化傾向UV、可塑剤移行(PVC)、加水分解(PU)等オゾン・UV・熱老化、油/溶剤で膨潤等


※上記は一般的な傾向であり、詳細は各種ホース詳細ページをご確認ください。

樹脂ホースとゴムホースのメリットデメリットをまとめると以下の内容となります。

【樹脂ホースのメリット・デメリット】
●メリット: 軽量で作業が楽、中が見える(流体確認)、薬品に強いタイプが多い
●デメリット: 高温で柔らかくなりやすい、柔軟性がゴムに劣る場合がある

【ゴムホースのメリット・デメリット】
●メリット: 柔軟で曲げやすい、耐候性・耐摩耗性に優れる
●デメリット: 重く取り回しが大変、中が見えない(異常に気づきにくい)、ゴム特有の臭いがある

上記メリット・デメリットを理解したうえで、どちらの材質を使用するか判断しましょう。

:用途別の材質使い分け基準(樹脂とゴム)

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比較表で特性の違いは整理できました。しかし、実際の選定では「自社の用途にどちらが合うか」を判断する必要があります。

以下では、食品・薬品・エアーという代表的な用途ごとに、樹脂とゴムの使い分け基準を整理します。

:食品用途の判断基準を定める

食品ラインで最優先すべきは「流体への影響がないこと」です。

ゴムホースは柔軟性に優れますが、臭気移りのリスクがあり、風味を重視する製品には不向きな場合があります。一方、樹脂ホースのうちオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)は可塑剤を含まず、低臭気のため食品移送に適しています。

臭気移りの原因や対策についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
▶ ホースの臭気移りを防ぐには?原因と対策を解説

加えて、洗浄後の残留確認が必要なラインでは、透明タイプの樹脂ホースが点検性の面で有利です。「洗浄が完了したかどうか目視で確認したい」という管理要件があるのであれば、樹脂ホースを優先的に検討してください。

:薬品・エアー用途の判断基準を定める

薬品ラインでは、流体との化学的な相性が選定の決め手になります。

強酸・強アルカリ・有機溶剤を扱う場合、汎用樹脂やゴムでは劣化が早まるため、フッ素樹脂ホースが第一候補です。一方、耐油性が求められる用途では、ニトリルゴム(NBR)など耐油性に優れたゴムホースが安定運用に寄与するケースもあります。

エアー用途では、作業性と耐久性のバランスが重要です。頻繁に持ち運ぶエアーツール用途では、軽量で取り回しやすいウレタン系の樹脂ホースが作業負荷を軽減します。固定配管でエアーを供給する場合は、重量よりも耐圧性や耐候性を重視し、ゴムホースが適する場合もあります。

樹脂・ゴム以外の材質も含めた選定の全体像を確認したい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
▶ 産業用ホースの種類と用途別選び方ガイド

:まとめ|樹脂かゴムかは「使用条件・管理方法・求める見える化」で最適解が変わる

「樹脂とゴム、結局どちらを選べばいいのか」。その答えは、自社の現場が何を優先するかによって変わります。

取り回しの負荷を減らしたい、可動部への負担を軽減したいなら、軽量な樹脂ホースが有利です。流体の状態を目視で確認したい、洗浄後の残留チェックを効率化したいなら、透明タイプの樹脂ホースが点検性を高めてくれます。

一方、柔軟性や耐油性を重視する用途、固定配管で長期安定運用を求める場面では、ゴムホースが適するケースもあります。

大切なのは、「樹脂だから良い」「ゴムだから悪い」という二択ではなく、使用条件・流体・管理要件を整理したうえで、自社の優先順位に合った材質を選ぶことです。

用途や条件に合う製品を具体的に検討したい方は、以下のページから候補をご確認ください。
▶ ホース製品一覧ページ

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