まるっとわかる! 改正食品衛生法(ポジティブリスト制度)

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改正食品衛生法におけるポジティブリスト制度は、2025年5月末で経過措置期間が終了し、本格的な運用が開始されました。

これにより、制度に適合していない資材は使用できなくなり、現場では資材選定や管理の見直しがより一層重要になっています。

本記事では、改正食品衛生法のポジティブリスト制度の概要や主な変更点、考えられるリスクに加え、確認すべきチェック項目や切り替えのメリットについて解説します。

自社の資材をあらためて見直し、安心して使用できる環境を整え、企業の信頼性向上につなげましょう。

2025年5月で経過措置終了―改正食品衛生法とポジティブリスト制度を再確認

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2025年6月1日、経過措置期間の終了とともに、ポジティブリスト制度は完全施行となりました。

従来は問題とされていなかった資材も、今後は厳密な適合確認が求められます。

制度の目的や背景を改めて確認し、企業としてどのように対応すべきかを理解しておきましょう。

ポジティブリスト制度とは?改正食品衛生法の変更点

ポジティブリスト制度とは、あらかじめ安全性が確認された物質のみを使用可能とする制度です。

従来の安全性が懸念される物質のみ使用を制限するネガティブリスト方式から安全な物質のみが使用できるポジティブリスト制度への転換に伴い、厚生労働省の告示『196号(~2025年5月31日)』で一定の猶予期間が設けられました。

しかし『324号(2025年6月1日以降)』では、食品用器具・容器包装にポジティブリスト制度への適合(PL適合)が義務化されました。

そのため、新たに導入する資材はポジティブリスト制度に適合しているか、確認する必要があります。

対象となる資材とその管理ポイント

ポジティブリスト制度は事前にリストに掲載され、許可された物質のみが使用可能です。2025年5月現在では対象は「合成樹脂」で構成される食品用器具・容器包装に限られています。

合成樹脂とは人工的に製造されたプラスチックのことで、主に食品用器具や容器包装に使用されるさまざまな材料、ラップフィルム、冷凍食品の包装材、ペットボトルなどが該当します。

そのため、合成樹脂以外の材料(紙や木、ガラス、金属など)や、ゴム製品などは対象外です。

対象製品を扱う企業では、使用するすべての資材がポジティブリスト制度に適合しているかを確認し、管理記録や証明書の保管、最新リストの定期確認などを通じて、継続的に法令遵守を維持することが求められます。

経過措置終了によるリスクとは

2025年6月1日以降に製造されたもので、ポジティブリストに記載がない物質を含む資材を使用している場合、食品衛生法違反に該当する可能性があり、注意が必要です。
法令に違反すれば、罰則や顧客からの信頼失墜などの影響が予想されます。

しかし、2025年5月31日までに製造・輸入されたものは、ポジティブリスト制度に適合していると見なされ、経過措置が満了以降も制度施行前の基準に基づき、適法と判断されます。

なお、八興が扱うチューブは購入時期を問わず、ポジティブリスト制度の対象であるため、問題なくお使いいただけます。

制度への対応は進んでいるか?今確認すべき3つのチェック項目

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企業がポジティブリスト制度への対応がされているか、以下の3点を確認しましょう。

● 製造元のPL適合状況や認証は確認済みか
● 使用中の資材はポジティブリストに含まれているか
● 管理対象の物質は最新の法規に基づいているか

いずれかが不十分なまま、2025年6月1日以降に製造された非適合資材を使用していた場合、食品衛生法違反に該当する可能性があり、罰則のリスクが生じます。

以下では、それぞれの項目について詳しく解説します。

製造元のPL適合状況や認証は確認済みか

ポジティブリスト制度に適合した資材を使用しているかどうかを判断するには、製造元から発行される書類の確認が欠かせません。「自己宣言書」や、食品衛生法第380号(最終改正)に基づく適合証明書を確認し、制度に準拠した資材であることを確認する必要があります。

この制度では、製品がポジティブリストに適合していることを製造元が説明する責任が義務付けられています。

八興では、対象製品ごとに自己宣言書と食品衛生法適合証明書をダウンロード可能な形で提供しており、制度対応に不安がある企業様でも安心してご利用いただけます。

製造元の信頼性を確かめるためにも、必要に応じて証明書類や関連資料を入手・保管しておきましょう。

使用中の資材はポジティブリストに含まれているか

制度の完全施行にともない、現在使用中の資材がポジティブリストに適合しているかを再確認しましょう。食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度では、主に次のものが該当します。

● 飲食器、割ぽう具(鍋やフライパン、お玉、包丁、まな板など)
● 添加物の採取や製造、加工、調理、貯蔵、運搬、陳列、授受で接触する機械や器具
● 摂取の用に供され、かつ食品又は添加物に直接接触する機械や器具

厚生労働省『器具・容器包装の製造事業者について』や東京都保健医療局『食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度』で詳しく取り上げられているため、併せて参考にしてください。

管理対象の物質は最新の法規に基づいているか

自社で使用・管理している食品用ホースや包装材、調理器具などの資材が、最新の食品衛生法およびポジティブリスト制度に適合しているかを定期的に確認しましょう。

たとえば、2025年5月時点で制度の対象となっている物質には、次のような区分と成分があります。

2025年5月時点での対象物質の具体例
合成樹脂の基本をなすもの(基ポリマー)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなど
基ポリマーに添加または塗布されることで、性能や機能を付与する物質安定剤、可塑剤、着色料など

制度への対応を徹底することで、法令遵守と食品の安全性確保の両立が可能になります。

また、制度変更に備え、製造元と連携しながら最新リストの定期的な確認体制を整えておきましょう。

ホースなど食品接触資材は要注意!切り替えが必要な理由

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食品製造設備に使用されるホースや継手などの部品は、食品に直接触れるにもかかわらず、構成材料や仕様が見落とされやすい資材の一つです。

特にポジティブリスト制度に非適合な材質を使用していた場合、制度違反のリスクに加え、漏れ・溶出といった製品品質への影響も深刻です。

以下では、こうした非適合ホースの使用が引き起こす具体的なリスクと、適合製品への切り替えによる実務的なメリットについて解説します。

非適合ホースを使用した場合の法的リスク

食品用の器具や容器包装にポジティブリストに記載されていない材質を使用した場合、食品衛生法第18条第2項または第3項に違反し、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。

さらに、器具や容器包装の廃棄命令(食品衛生法第59条第1項)や、営業禁止などの行政処分(同法第60条)につながる場合もあります。

このように、使用資材の不適合は、法的リスクに加えて消費者の健康被害や企業の信頼失墜といった深刻な結果を招く恐れもあることから、適合したホースを含む器具類の選定・管理が必要です。

ポジティブリスト適合製品への切り替えメリット

ポジティブリスト適合製品への切り替えは、法令遵守しつつ、食品の安全を確保できるメリットがあります。

ポジティブリストは、許可された物質が科学的に検証されているため、適合製品は食品の安全性や品質が確保されています。

そのため、信頼性の高い製品を使用すると、食品の安全から顧客の信頼を得られ、企業のブランド価値向上にもつながるのです。

最初こそ経費はかかりますが、法改正対応は長期的に見て、安全性の向上とリスク低減につながるため、必ず切り替えを行いましょう。

まとめ|法改正に注意して設備・資材を導入しよう

2025年6月1日以降に製造される製品では、ポジティブリストに記載のない物質を含む資材の使用は食品衛生法違反となるため、資材選定の見直しと対応状況の確認が欠かせません。

今後、企業が法令を確実に遵守し、安全な資材を使用することは「食品の安全性の確保」と「顧客からの信頼維持」に直結するでしょう。

八興が提供する食品用ホース・チューブは、購入時期を問わず、すべてポジティブリスト制度に適合しているため、制度対応に不安のある現場でも安心して導入いただけます。

弊社ホームページでは、改正食品衛生法への対応ポイントや、対象製品の詳細もご紹介しています。資材選定の判断材料として、ぜひご確認ください。

▼八興の食品・飲料用ホースシリーズ

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