原料用アルコール(96%)でもOK!現場の課題を解決する醸造用ホース

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日本酒やワイン、焼酎などの酒造りにおいて、その繊細な風味や品質を維持するためには、製造工程のあらゆる段階で細心の注意が求められます。特に、96%の原料用高濃度アルコールや、醸造過程で使用されるアルコール類の搬送は、製品の品質と安全性を左右する重要な工程です。

しかし、醸造現場の設備保全や生産技術を担当する方々からは、以下のような課題が聞かれます。

● 高濃度アルコールに長期間さらされた醸造用ホースが硬くなり、ひび割れてしまう
● ホースの劣化が早く、頻繁な交換や生産ラインの停止によるロスが発生する

上記の課題は、使用しているホースがアルコールの特性に、対応しきれていないことが原因です。

本記事では、醸造現場で高濃度アルコールを扱う際に直面するホースの課題を深掘りし、安定した品質と生産性を実現するためのホース選定のポイントを専門的な視点から解説します。

高濃度アルコールで直面する醸造用ホースの問題

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高濃度アルコールを日常的に扱う醸造現場で、信頼性のあるホースを選定できていないと、以下の問題が起こる可能性があります。

● 高濃度アルコールが引き起こすホースの硬化・ひび割れ
● 醸造用ホースの可塑剤・添加物の溶出による製品の品質低下
● 醸造用ホースの交換やライン停止にともなう生産効率の損失

上記のように、搬送ホースの選定は製品の品質・安全性に直結するため、詳しく解説します。

高濃度アルコールが引き起こすホースの硬化・ひび割れ

96%の原料用高濃度アルコールは、ホース素材に大きなダメージを与える可能性があります。

例えば、一般的なホースは、アルコールとの接触により素材が膨潤・硬化し、次第に表面がひび割れる場合があります。こうした変化は、液漏れや安全性の低下を招き、製品の品質管理にも悪影響を及ぼしてしまうでしょう。

ホースの劣化が原因でトラブルが起これば、設備停止によるロスも発生する可能性があるため、耐アルコール性に優れた素材の選定が不可欠です。

可塑剤の溶出がもたらす風味への影響と品質リスク

ホースに使われている可塑剤や添加物が、アルコールによって溶出する問題も無視できません。

溶出成分が酒や発酵液に混入すれば、風味や香りに違和感が出るだけでなく、衛生基準への適合性にも支障をきたす可能性があります。

特に、日本酒やビールのように繊細な味わいを大切にする醸造では、わずかな異物も製品価値を損なう大きなリスクにつながります。

頻繁な交換が招く生産ロスとコスト増大

ホースの早期劣化により頻繁な交換が必要になると、メンテナンスの手間やコストがかかります。また、交換作業中の生産ライン停止も避けられません。

生産ラインが停止すると、醸造計画の遅延や製造ロスが発生し、現場の生産効率に大きな影響を与えます。

トラブルを未然に防ぎ、安定した製造環境を維持するためには、長期的に信頼できるホースを選びましょう。

高濃度アルコール対応の醸造用ホースに求められる3つの条件

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醸造現場で使用するホースには、通常の耐久性だけでなく、アルコールや清掃用の薬品に耐えられる性能が求められます。

良い醸造用ホースを選択すると、品質リスクを抑えながら、生産効率や作業性も高められるでしょう。続いて、選定の際に押さえておきたい3つの「条件」について解説します。

条件1:硬化・変質を防ぐ耐薬品性

高濃度アルコールに対して、ホースの材質が変化しない「耐薬品性」は、最も重要な選定基準のひとつです。

特に、可塑剤の溶出による硬化を防ぐためには、可塑剤を含まない、あるいはアルコールへの耐性が高い材質を選ぶ必要があります。

内層にオレフィン系樹脂やフッ素樹脂を使用したホースは、可塑剤を含みません。そのため、高濃度アルコールに長期間接触しても、硬化や変質が起こりにくい特長があります。

条件2:食品衛生法・ポジティブリスト制度に適合する低溶出性

製品の安全性を担保するには、食品衛生法への適合が必須です。2020年6月に施行された「ポジティブリスト制度」では、安全性が評価された物質のみ使用可能とし、リストにない物質は原則使用禁止となりました。

そのため、食品に有害な成分が染み出さない「低溶出性」が重要視されています。なお、ポジティブリスト制度は2025年6月1日から完全施行されており、より厳格な管理が求められています。

ホース選定をする際は、このポジティブリスト制度に準拠し、関連エビデンスを提示できる確かな製品を選びましょう。

→ まるっとわかる!改正食品衛生法(ポジティブリスト制度)【内部リンク】

条件3:長期使用を実現する物理的耐久性

長期的な安定稼働には、化学的な耐性だけでなく、日々の取り扱いや圧力に耐える「物理的耐久性」も不可欠です。ホースの耐久性は、内層・外層の材質だけでなく、その間にある「補強層」の構造に大きく左右されます。

例えば、ポリエステル糸で網目状に編み込まれた補強層は、ホース内にかかる圧力への耐性(耐圧性)を高める重要な役割を担います。

材質だけでなく、どのような補強構造になっているかを確認するのも、醸造用ホース選定では重要です。

八興の醸造用ホース「KYソフトブレード【E-OHB】」が選ばれる理由

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八興が開発した醸造専用ホース「KYソフトブレード【E-OHB】」は、バランスの良い性能を備えた製品です。

また、日々の製造現場での使いやすさや、製品の品質維持に直結する安全性も兼ね備えているため、現場課題を解決する対策として、ぜひご検討ください。

原料用の高濃度アルコール(96%)でも劣化しない確かな耐性

KYソフトブレード【E-OHB】は、96%の原料用高濃度アルコールにも耐性がある醸造用ホースです。アルコールによる硬化・収縮・ひび割れといった劣化を抑え、長期間にわたって安定した性能があります。

アルコールの搬送に不安を抱える現場でも、利用しやすいホースです。KYソフトブレード【E-OHB】は、現場の実態と課題を丁寧にヒアリングしたうえで製品化されました。劣化しにくく、信頼性が高い製品です。

ホース劣化や溶出を防ぐオレフィン系樹脂内層の採用

本製品の内層には、可塑剤を一切含まない「オレフィン系樹脂」を採用しているため、異物混入や異臭汚染のリスクを限りなく低減できます。

その優れた低溶出性は、以下の溶出試験結果比較データからも明らかです。

※JIS S 3200-7:2004『水道用器具・浸出性能試験試験方法』による

上表の試験結果から、塩ビチューブからは、フェルール類や有機物(TOC)が溶出することが確認できます。香りが品質を左右する醸造では、微量でもこうした物質は、製品の価値を低下させる恐れがあるのです。

そのため、低溶出性に優れた可塑剤不使用のKYソフトブレード【E-OHB】は、多くの醸造所で選ばれています。

100社以上の現場の声から生まれた醸造専用設計

醸造の現場では、以下の品質と作業性の二律背反を「仕方がない」と受け入れてきました。

● 品質維持のために使う溶出が少ない硬いホースは、取り回しや洗浄が大変
● 作業性を優先で柔らかいホースを選ぶと、硬化や臭い移りが心配

KYソフトブレード【E-OHB】はその現状を打破するため、「品質も作業性も妥協しないホース」を目指し、開発された製品です。

開発チームは、実際に100社以上の蔵元やワイン・焼酎工場を訪問し、現場で寄せられた声をもとに、材質の配合やホース構造の見直しに着手しました。

その結果たどり着いたのが、三層構造の設計です。内層には耐薬品性に優れたオレフィン系樹脂、外層には独自配合で高い柔軟性を実現した素材を使用しました。さらに、最適化された補強構造を組み合わせ、「硬化しない」「溶出しない」「扱いやすい」という特性を高次元で実現しています。

まとめ|最適なホース選定で実現する安定生産と品質向上

ホースの頻繁な交換や作業員からの「扱いにくい」という声、原因不明の風味の違和感は設備の宿命ではなく、解決できる課題です。

適切な醸造用ホースへの切り替えは、単なる部品交換ではありません。費用の大幅削減や生産ライン停止時間の短縮、そしてお客様に届ける製品の品質を安定させる重要な設備投資です。

八興の「KYソフトブレード【E-OHB】」は、96%の高濃度アルコールにも耐え、可塑剤フリーで溶出リスクを排除し、現場が求める柔軟性を実現しています。また、既製品だけではなく、醸造現場に沿ったオーダーメイド製品の製作も行っております。※製作ロットは別途ご相談ください

【貴社の課題解決に向けて】
● 使用環境に最適な仕様のご提案
● カスタマイズ製品の設計・製作

長年「仕方ない」と諦めていた課題も、適切なホース選定で解決できる場合があるため、まずは詳しい仕様や導入事例を、以下のURLよりご確認ください。無料の見積もりや、お問い合わせも受け付けております。
https://eightron.tokyo/alcohol/

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