クロマトグラフ/分析装置内でフッ素チューブが折れてしまうのはなぜ?

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血液分析装置・自動分注機・HPLC分析で利用するガスクロマトグラフなどの分析装置では、限られた装置内スペースでフッ素チューブを配管する際、「折れ」や「割れ」、「液漏れ」などのリスクがつきものです。

特に、狭所での配管や高密度な設計では、曲げ応力や経年劣化によるトラブルが設計時の悩みとなっているケースも多いのではないでしょうか。

本記事では、フッ素チューブの折損メカニズムを材質特性や最小曲げ半径の観点から解説し、柔軟性と耐薬品性を兼ね備えた「柔軟フッ素チューブシリーズ」による解決策をご提案します。

装置の信頼性向上と小型化を両立したい設計担当者の方は、ぜひご覧ください。

分析装置でフッ素チューブが折れるトラブルとは?

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分析装置の小型化や高密度設計が進むなかで、フッ素チューブの「折れ」や「割れ」が起因となるトラブルが増えています。

配管スペースが限られる現場では、過度な曲げや経年劣化が思わぬ破損を招き、装置全体の信頼性を損なう原因となることも。

以下では、実際に起きやすいフッ素チューブ破損の代表的な原因を3つに整理し、詳しく解説します。

狭所配管による過度な曲げ・取り回しの影響

自動分注機やHPLC分析、ガスクロマトグラフなどの分析装置内部では、配管スペースの制約により、フッ素チューブが推奨の曲げ半径の範囲外で使用されるケースがあり、これが「折れ」や「潰れ」といったトラブルの主な原因です。

一般的なメーカーのフッ素チューブ製品では「極端な曲げ」「結束・固定・こすれ」による破損が注意事項として明記されており、曲げによる断面変形や有効断面積の低下が流体搬送に悪影響を及ぼすことが知られてます。

このような「折れ」や「潰れ」の注意事項があり、柔軟性の低いPFA/PTFEの素材でできたチューブでは、狭所での配管が困難で分析装置内で省スペースで設計するのが難しいとされていました。

しかし、後述するスーパー柔軟フッ素チューブを採用すれば、取り回しの自由度が大幅に向上し、省スペースかつ安定した配管が可能です。

長期使用による材質劣化と破損

フッ素チューブは長期間使用すると、柔軟性が低下し破損リスクが高まります。

実際、PFA製チューブであっても高温や薬品の影響を受けると、硬化や白濁化、微細な亀裂の発生といった劣化が確認されています。一般的な製品の注意書きにも「経年による硬化・漏れのリスク」が明記されているほどです。

このような劣化は分析装置のメンテナンス頻度を増加させ、装置全体の信頼性低下につながります。そのため、分析装置を安定稼働させるには、適切な材質選定と、定期的な交換・点検が欠かせません。

フッ素チューブの材質劣化や破損による突然のトラブルを防ぐためにも、定期的に点検を実施しましょう。

チューブ破損が引き起こす装置不良と信頼性低下

フッ素チューブの破損は単なる液漏れに留まらず、分析結果の再現性や装置そのものの信頼性低下を招きます。

特に、HPLC分析に使われるクロマトグラフや血液分析装置などの精密制御が求められる機器では、わずかな漏れが機能停止や測定誤差につながります。

継手部分での締付不足やチューブとの適合性不良により、配管部からの微細漏れが発生する事例がありました。また、継手部分の締付トルク不足や、ねじれ・応力集中といった設計上のミスが装置不良や信頼性低下の要因となることも少なくありません。

こうした問題に対応するため、適切な柔軟性と耐久性を持つチューブの選定が必要です。たとえば、柔軟性に優れたフッ素チューブを採用した事例では、漏れトラブルの大幅な削減と装置組立工数の短縮が実現されており、信頼性向上に貢献しています。

フッ素チューブの破損は分析装置の性能や稼働率を左右する重要な要素です。設計初期段階から信頼性の高い配管構成を計画することが、トラブル未然防止と装置寿命の延伸につながります。

設計時に注意したいフッ素チューブの折れやすい条件

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設計段階でフッ素チューブの折れを防ぐためには、以下の2点に注意が必要です。

● フッ素樹脂の構造と、それにともなう柔軟性・剛性の違い
● 継手や配管接続部で発生しやすい応力集中への対策

それぞれのポイントについて、以下で詳しく解説します。

フッ素樹脂の構造と剛性の関係

まず知っておくべきは、主要フッ素樹脂の分子構造の違いです。種類はPTFEとPFAの2つです。

PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)は剛性が高く、加工が困難な反面、耐薬品性や非粘着性に優れています。

PFA(ペルフルオロアルコキシアルカン)という素材も硬質です。半透明で液体の流れが見られるメリットはありますが、PTFEと同様に曲げ加工で手間がかかります。

このような特性の違いを理解したうえで、狭所配管や応力分散が必要な部位には高柔軟チューブの選定が有効です。

継手・接続部に発生しやすい応力集中のリスク

継手や接続部は配管系統のなかでも特に応力が一点に集中しやすい箇所であり、フッ素チューブの破損が最も頻繁に発生するポイントです。

一般的な注意事項として、最小曲げ半径を下回る取り回しは避けるべきです。また、外径公差の不一致や継手部分の挿入不足などが、破損や漏れの原因となることが知られています。

特に分析装置では、わずかな接続不良でも大きな測定誤差や装置停止につながる恐れがあります。

さらに、配管を強く結束したり無理な固定を行った場合にも、局所的に応力が集中します。これによりチューブの割れや抜けといったトラブルが引き起こされるため、適切な配管支持と固定方法の選定が重要です。

こうしたリスクを軽減するためには、継手の選定段階で使用するチューブの寸法や硬度との適合性を十分に確認する必要があります。また、組立時の締付トルク管理や、経年変化を考慮した定期点検も有効な対策となります。

折れ対策に適した柔軟フッ素チューブシリーズのご紹介

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従来のPFAチューブでは柔軟性に限界があり、狭所や複雑な配管ルートでは折れやすい課題がありました。しかし、スーパー柔軟フッ素チューブ(例:E-SJ/E-SJUSシリーズ)は、圧倒的な柔軟性と取り回し性を誇り、スムーズな配管が可能です。

柔軟性試験においても、PTFE/PFAチューブと比べて、大きなたわみ量を記録しており、狭所や複雑な配管ルートでも折れにくく、省スペース設計が可能です。

また、同シリーズは4フッ化系フッ素樹脂を使用しているため、高い耐薬品性と低溶出性を実現しています。クロマトグラフや血液分析装置など、薬液や純水の取り扱いが求められる装置でも長期的に安定稼働が見込めます。

継手に関しても、柔軟フッ素チューブシリーズ専用の製品をそろえており、抜け・折れ対策が可能です。

専用の継手を使用すると、継手部におけるチューブ破損のリスクを低減するだけでなく、本製品の特徴である、配管作業の効率アップや衛生的な流体の搬送ができます。

製品の詳しい情報については、下記URLよりご覧ください。

▼柔軟フッ素ホースシリーズ

まとめ|設計空間・使用条件に応じて“折れにくさ”でチューブを選ぶ

狭所配管や高密度設計、薬液搬送など、繰り返し曲げ負荷がかかる配管環境では、チューブの柔軟性が装置の信頼性と設計自由度に大きく影響します。

設計課題の解決と耐久性の向上を両立させるために、柔軟性に優れた多層構造のフッ素チューブを選定しましょう。

八興が提供する「柔軟フッ素チューブシリーズ」は、こうした要求に対応した製品を取りそろえており、限られた空間でも折れにくく、長期的な運用コストの最適化を実現します。

製品の特長や選定時のポイントについては、下記ページにて詳しくご紹介しています。チューブ選定の判断材料として、ぜひご確認ください。

▼分析機器・医療機器用チューブ

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