酸素・ガスバリア性に優れたホースは?

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「脱気装置を入れたのに、なぜか溶存酸素の値が下がりきらない」「冷却水がじわじわ減っている気がする」。こうした現象に心当たりはないでしょうか。

脱気装置そのものには問題がなくても、搬送に使っているホースの壁面から酸素や水蒸気が透過し、再び液中に溶け込んでいるとしたら、どうでしょう。装置の性能を疑って点検やメーカー問い合わせに時間を費やしたり、品質データのばらつきに悩まされて原因究明を繰り返したりと、見えにくいコストが積み重なっていきます。

さらに問題は酸素と水蒸気だけにとどまりません。インク搬送ラインでの溶剤揮発による印刷不良、隣接ラインへの臭気移りによるコンタミネーション。これらもホースの「ガス透過」が引き金になっている可能性があります。

本記事では、樹脂ホースにおけるガス透過のメカニズムを整理したうえで、酸素・水蒸気・溶剤・臭気という4つのトラブルカテゴリごとに、八興の多層バリアホースがどのような改善効果をもたらすのかを比較データとともに解説します。

「どのバリアホースを選べばよいのか」が用途別に判断できる構成になっていますので、設計・保全・購買のいずれの立場からも、導入検討の材料としてご活用ください。

なお、「そもそもホース経由の酸素混入を脱気装置側からも対策したい」という方には、装置選定の観点から整理した以下のページもあわせてご覧ください。
脱気装置向け ~酸素混入を防ぐバリアチューブ~

なぜ脱気しても品質が安定しないのか?ホースの「透過」という盲点

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脱気装置を正しく運用しているにもかかわらず、下流工程で溶存酸素値が想定より高い。あるいは、冷却水の補充頻度が以前より増えている。こうした「装置は正常なはずなのに数値が合わない」という違和感を放置していないでしょうか。

原因として見落とされがちなのが、脱気後の液体を搬送するホースそのもののガス透過性です。どれほど高性能な脱気装置を導入しても、搬送経路であるホースの壁面から酸素や水蒸気が再び侵入してしまえば、脱気の効果は大きく損なわれます。

ここからは、まずこの「透過」のメカニズムを整理し、続いて現場で実際に発生しやすい4つの代表的トラブルを確認していきます。

樹脂の分子間隙を通り抜ける酸素・水蒸気のメカニズム

そもそも、なぜ樹脂ホースから気体が侵入するのでしょうか。

樹脂は一見すると隙間のない固体に見えますが、分子レベルでは高分子の鎖と鎖の間にわずかな空間が存在します。酸素や水蒸気のような小さな分子は、この分子間隙を「すり抜ける」ようにしてホース壁面の外側から内側へと移動します。これがガス透過と呼ばれる現象です。

重要なのは、この透過が「ホースの劣化」や「接続部のリーク」とはまったく異なる原因で起こるという点です。新品のホースであっても、材質自体の特性として透過は常に発生しています。

そのため、脱気装置でいくら液中の溶存気体を除去しても、搬送ホースを通過する間に酸素が再溶存し、下流側で数値が悪化するという構造的な問題が生まれます。

つまり、脱気装置とホースの選定は本来セットで考えるべきものであり、ホース側の透過性を無視したままでは、装置投資に見合った品質改善が得られない可能性があるのです。

現場で見落とされがちな「代表的な4つのトラブル例」

では、ホースのガス透過は現場でどのような不具合として表面化するのでしょうか。代表的なケースを4つ紹介します。

1.酸素混入による酸化トラブル
食品・飲料の搬送ラインでは、ホースを透過した酸素が液体中に再溶存し、風味の劣化や変色を引き起こすことがあります。脱気装置の下流にもかかわらず品質検査でNGが出る場合、搬送ホースからの酸素透過を疑ってみてください。

2.水蒸気抜けによる効率低下
チラー配管などで使用するホースから水蒸気が徐々に透過・散逸すると、冷却水の液量が減少し、冷却効率の低下につながります。「液減りの原因がわからない」という声が上がったら、ホースの水蒸気バリア性を確認する価値があります。

3.溶剤揮発による品質低下
UVインクなどの溶剤を含む液体を搬送する場合、ホース壁面から溶剤成分が揮発・抜け出すことで、インクの組成バランスが崩れ、印刷品質に影響が出るリスクがあります。

4.臭気移りによるコンタミネーション
臭気の強い流体を扱うラインでは、ホースを透過した臭い成分が外部環境に漏れ、隣接する製造ラインの製品に臭いが移るという深刻な問題も報告されています。

これら4つのトラブルに共通するのは、ホースの外観や接続部には異常が見られないため、原因特定に時間がかかりやすいという厄介さです。次章以降では、それぞれのトラブルに対応する八興の多層バリアホースを、具体的な比較データとともに紹介していきます。

【酸素・水蒸気】液体の劣化と目減りを防ぐ比較データ

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「ホースからの透過が問題になるのはわかった。でも、実際どの程度の差が出るのか?」と感じた方も多いのではないでしょうか。

ここからは、酸素バリアと水蒸気バリアの2つのカテゴリについて、八興の多層バリアホースと一般的な単層ホースとの違いを具体的なデータで確認していきます。

酸素バリア:食品・飲料の酸化による風味低下を抑制する「E-BTO」

結論から言えば、食品・飲料ラインでの酸素混入対策には、オレフィンバリアチューブ「E-BTO」が有効です。

たとえばジュースや液体調味料の搬送ラインを考えてみてください。せっかく脱気装置で溶存酸素を除去しても、その先のホースが単層ポリエチレン製であれば、壁面から酸素がじわじわと透過し、液中に再び溶け込んでしまいます。

結果として、酸化による風味の変化や変色が発生し、品質管理部門がいくら数値を追いかけても原因がつかめないという状況に陥りがちです。

八興のE-BTOは、多層構造の中間にバリア層を設けることで、酸素の透過量を大幅に低減する設計です。

市販のポリエチレンチューブとの比較試験では、搬送後の溶存酸素量に明確な差が確認されています。脱気装置との併用で、上流から下流まで一貫した低酸素環境を維持できる点が最大の強みだといえます。

「脱気装置は導入済みなのに、品質検査の数値がばらつく」という現場は、まずホースをE-BTOに切り替えて効果を検証してみてください。

水蒸気バリア:チラーの冷却効率を維持する「E-BTF」

一方、水蒸気の透過が問題になるのはどのような現場でしょうか。代表的なのが、チラー(冷却水循環装置)の配管です。

チラー配管にウレタンチューブなどの汎用ホースを使用していると、ホース壁面から水蒸気が少しずつ外部へ散逸していきます。目に見える漏れではないため気づきにくいのですが、時間の経過とともに冷却水の液量が減少し、冷却効率の低下や補水頻度の増加といった形で設備パフォーマンスに影響を及ぼします。

この課題に対応するのが、フッ素バリアチューブ「E-BTF」です。ウレタンチューブとの比較試験において、E-BTFは重量変化(=水分の散逸量)を1%未満に抑えるという結果が出ています。ウレタンチューブでは無視できなかった液減りが、ホースの変更だけで大幅に改善できる点です。

「接続部からのリークは見当たらないのに、なぜか冷却水が減る」。そんな経験がある現場では、ホースの水蒸気バリア性という視点で配管を見直すことをおすすめします。

【溶剤・臭気】印刷不具合とコンタミネーションへの対策

酸素や水蒸気だけがバリアの対象ではありません。溶剤成分や臭気もまた、ホース壁面を透過して現場にトラブルをもたらす要因です。

ここからは、印刷工程と食品・化学品工程でそれぞれ問題になりやすい2つのケースを取り上げます。

溶剤バリア:UVインクの揮発・抜けを防ぐ「E-BTF-BK」

「インクの吐出量は安定しているのに、印刷の仕上がりにムラが出る」。こうした不具合の背景に、ホースからの溶剤揮発が隠れているケースがあります。

UVインクなどの溶剤系インクを搬送する際、ホース壁面から揮発成分が少しずつ抜け出してしまうことがあります。揮発成分が減ればインクの粘度や配合が変わり、印刷のムラや色味のズレにつながります。

さらにUVインクの場合、搬送中に光が当たると硬化反応が始まってしまうため、遮光対策も同時に求められます。

この2つの課題を同時に解決できるのが、フッ素バリアチューブ・ブラック「E-BTF-BK」です。

多層構造によるバリア層が溶剤の透過を抑え、さらにブラックの外層がUV光を遮断します。他社フッ素ゴムチューブとの比較試験では、溶剤の透過量において圧倒的な差が確認されています。

インク搬送ラインで原因不明の品質ばらつきに悩んでいる場合、ホースの溶剤バリア性と遮光性の両面から見直してみてください。

臭気バリア:ライン間の臭い移りをシャットアウト

よくある誤解のひとつに、「臭いの問題は換気で対処できる」というものがあります。しかし、ホース壁面を透過した臭気成分が隣接ラインの製品に移ってしまうコンタミネーションは、換気だけでは根本的に解決できません。

香料や化学薬品など臭気の強い流体を搬送するラインでは、ホース内部から外部へ臭い成分がにじみ出し、同じ製造エリア内の別製品に臭いが付着するというトラブルが報告されています。とくに食品工場のように複数の製品を同一フロアで扱う現場では、わずかな臭気移りでも出荷停止につながりかねない深刻な問題です。

八興の多層バリアホースは、この臭気透過に対しても高い遮断性能を発揮します。官能試験(人の嗅覚による評価)とセンサー測定の両面で、市販ホースを大きく上回るバリア性能が実証されています。

臭気トラブルは「慣れ」によって現場で感知されにくくなる傾向があるため、数値による客観的な評価と、ホース材質の見直しをセットで進めることをおすすめします。

なお、脱気装置と組み合わせて酸素混入と臭気透過の両方を対策したいという場合には、以下のページも参考になります。
脱気装置用バリアチューブ

まとめ|酸素透過のリスクを正しく理解し、最適なバリアホースで品質安定化を実現する

ここまで解説してきたとおり、脱気装置を導入しても品質が安定しない原因のひとつは、搬送ホースの壁面から起こる「ガス透過」にあります。この問題は、ホースの外観や接続部に異常が見られないため発見が遅れやすく、原因究明に余計な時間とコストがかかりがちです。

しかし裏を返せば、ホースを多層バリア構造に切り替えるだけで、長期間悩まされてきたトラブルが劇的に改善する可能性があります。

用途別の選定基準を改めて整理します。
● 食品・飲料ラインでの酸素混入対策 → オレフィンバリアチューブ「E-BTO」
● チラー配管などの水蒸気抜け対策 → フッ素バリアチューブ「E-BTF」
● UVインク搬送時の溶剤揮発・遮光対策 → フッ素バリアチューブ・ブラック「E-BTF-BK」
● 臭気の強い流体によるライン間コンタミ対策 → 多層バリアホース(用途に応じて選定)

「どのトラブルを最優先で解決したいか」を軸にすれば、最適な製品は自ずと絞り込めます。

まずは現在お使いのホースの材質と、現場で発生しているトラブルの種類を突き合わせてみてください。八興では比較データの提供やサンプルによる実機テストにも対応していますので、導入前の検証も含めてお気軽にご相談ください。
脱気装置向け ~酸素混入を防ぐバリアチューブ~

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