クリーン水素/アンモニアなどのクリーンエネルギー供給システム用のフッ素チューブ

カーボンニュートラル(地球温暖化を防ぐための取り組み)の実現に向けて、国内外で動きが活発になっています。なかでも、水素やアンモニアなどを用いた二酸化炭素を排出しない、次世代クリーンエネルギーの実用化が加速しています。
次世代クリーンエネルギーとは、二酸化炭素をほとんど出さない地球に優しいエネルギーを示す言葉です。脱炭素化を推進する重要な手段として重要な位置づけがされています。
一方で、アンモニアや水素は化学的に高い反応性や腐食性を持っています。そのため、ホースやチューブなどの配管材には薬品耐性や気密性、安全性に優れたものが欠かせません。
本記事では、クリーンエネルギーの供給システムに求められるチューブ・ホースの選定ポイントと、装置設計に活用されている柔軟フッ素チューブ・ホースの特徴について解説します。
再生可能エネルギー分野での導入検討に役立つ技術情報として、ぜひご活用ください。
クリーンエネルギーを扱う装置で“ホース選定”が重要な理由とは?

クリーンエネルギーを扱う装置においてホース選定は、安全性や耐久性を確保するために重要なポイントです。
特にクリーンエネルギーを扱う装置では、水素やアンモニアといった可燃性・腐食性の高い流体を、安全かつ確実に取り扱う必要があります。
さまざまな化学物質に対する耐薬品性を備えたホースを選定すれば、経年劣化や破損のリスクを軽減できます。その結果、装置の信頼性が向上し、メンテナンスしやすくなり、トラブルやコストの抑制にもつながるのです。
このように、高品質のホースはクリーンエネルギー装置の効率的かつ安全な運用に欠かせません。クリーンエネルギー供給システムの信頼性を高めるためにも、ポイントを抑えて選定しましょう。
クリーンエネルギー供給用装置におけるチューブ・ホースの選定ポイント3つ

クリーンエネルギーを供給するラインでは、水素・アンモニアといった高純度・高反応性の液体を扱うため、配管部材には特に高い性能が求められます。
そのなかでも、「洗浄性」「柔軟性」「耐薬品性」の3点は、安全性・耐久性・メンテナンス性に直結する重要な選定基準です。
以下では、それぞれのポイントについて詳しく解説します。
洗浄性
チューブ・ホースの内面に薬液や溶剤が残留しにくい、フッ素チューブ・ホースを選びましょう。
配管材には各種薬品の純度を保つために、定期的なメンテナンス(洗浄)が必要です。
八興の柔軟フッ素ホースシリーズは、各種薬品・アルカリ・有機溶剤などの薬品を使用したあとでも付着や吸着が少なく、洗浄時に薬品成分を洗浄できます。
ただし、高温・高圧洗浄を行う場合には、チューブ・ホースが劣化する可能性があるため、どのように運用・メンテナンスするかも考えながら選びましょう。
柔軟性
再生可能エネルギー分野の装置設計では、配管スペースの制約や複雑なルートへの対応が求められるため、ホースの柔軟性も重要なポイントです。
八興の柔軟フッ素ホースシリーズは、狭い配管経路でも無理な力を加えずに曲げられ、取り回しやすさに優れています。また、小さな曲げ半径にも対応しやすく、施工時の応力集中やホース潰れを抑制できます。
スプリング入りタイプや補強構造を備えた製品であっても、柔軟性を保ちながら配管を自由に変えられるため、設置に手間がかからず、レイアウト変更にも対応可能です。
このように、柔軟フッ素ホースシリーズは屈曲耐性も備えており、繰り返しの曲げ動作や可動部でも性能を維持しやすく、保守性と長期運用の安定性を両立できます。
耐薬品性
さまざまな薬品に長期間さらされる配管材には、極めて高い耐薬品性が必須です。
クリーンエネルギー関連の装置では、アンモニアやアルカリ性薬品、有機溶剤、酸性薬液など、さまざまな化学物質への耐久性が求められます。
柔軟フッ素ホースシリーズは、ETFEやPVDFといったフッ素樹脂を内層に用いており、各種薬品や有機溶剤にも安定した耐性を発揮します。化学反応による膨潤・劣化・亀裂を防ぎ、漏れや破損のリスクを大幅に低減可能です。
さらに、フッ素樹脂は非吸湿性にも優れているため、薬品の成分変化を抑えつつ、品質の安定化にも寄与します。
ただし、高温な環境や高濃度の薬液への使用では、温度条件と薬液特性に応じた素材の選定が必要なため、導入前には適合性を確認しましょう。
クリーンエネルギー供給システムにおすすめな柔軟フッ素チューブ・ホース3選

クリーンエネルギー供給ラインでは、配管に柔軟性・耐薬品性・洗浄性が同時に求められます。
用途や設計条件によって必要な性能のバランスが異なるため、製品ごとの特性を把握して、適切に使い分けることが重要です。
ここでは、洗浄性・柔軟性・薬品耐性に優れた3種類のフッ素ホースを紹介します。
スーパー柔軟フッ素スプリング・ウルトラソフト(E-SJSPUS)
「スーパー柔軟フッ素スプリング・ウルトラソフト」は、柔軟性と耐薬品性に優れたスプリング入りのフッ素ホースです。各種薬品、アルカリ、溶剤などに対して高い耐性を持ち、錆びや潰れにも強い構造となっています。
内蔵されたスプリングにより、曲げた際の保形性に優れており、狭所や複雑な配管にも対応可能です。フッ素樹脂特有の撥水性と非粘着性により、流体がホース内に残留しにくく、洗浄性にも優れています。
さらに、臭気や溶出成分が極めて少ないため、食品・飲料分野での使用にも適しています。透明仕様により、清掃状態を目視で確認できて、衛生管理が求められる現場でも安心して使用できます。
スーパー柔軟フッ素スプリング(ウルトラソフト)E-SJSPUS
スーパー柔軟フッ素ホース・ウルトラソフト(E-SJBUS)
「スーパー柔軟フッ素ホース・ウルトラソフト」は、柔軟性と耐薬品性に優れたETFE系フッ素樹脂を内層に使用したホースです。各種薬品、アルカリ、溶剤などに対する高い耐性を持ち、折れにくく、取り回しにも優れています。
ホース全体は柔軟性と耐久性のバランスが取れており、狭いスペースや複雑な配管経路でも施工しやすい構造です。外層は透明仕様となっており、内部の洗浄状態を目視で確認できるため、衛生管理が求められる用途にも対応します。
また、1mごとにカット位置が印字されているため、現場での裁断作業を効率的に行うことができます。さらに、樹脂特有の臭気や溶出物質が少なく、食品・飲料・化粧品などの分野でも安心して使用できます。
ただし、本製品は補強糸入り構造であるため、使用時にはホース内面でシールするタイプの継手の使用が推奨されます。
柔軟フッ素ホース(E-PDB)
「柔軟フッ素ホース」は、補強糸を組み込んだ積層構造のフッ素ホース(内層=PVDF系フッ素樹脂)で、柔軟性と耐久性を兼ね備えています。市販のフッ素単層チューブに比べて折れにくく、取り回しのしやすさが特長です。
スラリー状の薬品(例:セメントや鉱石を水と混ぜた懸濁液)にも対応でき、過酷な条件下でも安定した性能を発揮します。また、専用継手と組み合わせることで、不適切な接続によるトラブルを防ぎ、安全性を高めることができます。
内層のフッ素樹脂は、薬品成分の吸着や溶出が少ないため、純度維持が求められる流体にも対応可能です。さらに、透明なホース構造により洗浄状態を目視で確認できるため、飲料・薬液分野など、衛生管理が求められる現場でも安心して使用できます。
まとめ|クリーンエネルギー装置の信頼性向上には適切なホース選定が不可欠
水素やアンモニアといった次世代燃料を扱うクリーンエネルギーの配管には、洗浄性・柔軟性・耐薬品性など、複数の性能を兼ね備えた配管材が欠かせません。
そのため、安全性と安定稼働を実現するうえで、ホースやチューブの選び方は非常に重要なポイントです。
八興が展開する「柔軟フッ素ホースシリーズ」は、高い薬品耐性と洗浄性を持ち、設計段階での配管の自由度もあります。そのため、再生可能エネルギー関連装置をはじめとした、さまざまな分野での活用が期待されています。
装置の仕様や使用環境に合ったホースを選べば、配管トラブルのリスクを抑え、長期にわたって高い信頼性とメンテナンス性が得られるでしょう。
特定の流体条件や設計要件に応じたご提案も可能です。最適なホース選定でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。