有機溶剤用チューブ・有機溶剤用ホース
シンナーなどの有機溶剤の搬送には、耐溶剤性のあるホースを推奨します。
塩ビホースやゴムホースを溶剤搬送に使用すると、溶剤成分でホースが溶けたり、膨潤して破裂などの不具合の原因になります。
有機溶剤を流す場合、耐薬品性に優れるポリアミド(ナイロン)樹脂、またはフッ素樹脂を接液部に採用した耐薬品性ホースを推奨します。
導入事例
採用製品:導電スーパー柔軟フッ素チューブ【E-SJD】
流体:ヘキサメチルジシラザン(HMDS)
採用ポイント:在庫量、耐溶剤性、帯電防止性
・ユーザー課題
フィルムへの塗布を行う工程で、HMDS処理を行う必要があり従来より市販の帯電防止機能付きのフッ素チューブを使用していました。
しかし、昨今の原材料不足により当該メーカーから即納が難しい旨の通知があり、至急代替品の検討が必要な状況でした。
・八興からの提案
導電スーパー柔軟フッ素チューブ【E-SJD】を提案いたしました。
現行の市販品はPFAフッ素チューブでありE-SJDの内層はETFE系フッ素樹脂という違いはあるものの、即納が可能であり、かつ、流動帯電を防ぐ特許構造である点を評価いただき、採用となりました。
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対象製品
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技術資料
■対象製品
スーパー柔軟フッ素チューブ(ウルトラソフト) E-SJUS
スーパー柔軟フッ素ホース(ウルトラソフト) E-SJBUS
スーパー柔軟フッ素スプリング(ウルトラソフト)E-SJSPUS
スーパー柔軟フッ素チューブ・ブラック(ウルトラソフト)E-SJUS-BK
■技術資料
曲げやすい・薬品に強い・洗いやすいースーパー柔軟フッ素ホース
有機溶剤の種類と樹脂の耐薬品性
種類 | 薬品名 | PA | PVDF | ETFE | |
極性 | アルコール類 | メチルアルコール | 〇 | 〇 | 〇 |
エチルアルコール | 〇 | 〇 | 〇 | ||
イソプロピルアルコール(IPA) | 〇 | 〇 | 〇 | ||
グリセリン | 〇 | 〇 | 〇 | ||
ケトン類 | アセトン | 〇 | × | 〇 | |
メチルエチルケトン(MEK) | 〇 | × | 〇 | ||
メチルイソブチルケトン(MIBK) | 〇 | × | 〇 | ||
エーテル類 | ジエチルエーテル | 〇 | × | 〇 | |
テトラヒドロフラン(THF) | 〇 | × | 〇 | ||
エステル類 | 酢酸エチル | 〇 | × | 〇 | |
酢酸ブチル | 〇 | × | 〇 | ||
塩素系 | 塩化メチレン(DCM) | ― | ― | 〇 | |
トリクロロエチレン | ― | 〇 | 〇 | ||
強極性溶媒 | ジメチルホルムアミド(DMF) | × | × | 〇 | |
N-メチルピドリドン(NMP) | × | × | 〇 | ||
非極性 | 芳香族炭化水素 | ベンゼン | 〇 | 〇 | 〇 |
トルエン | 〇 | 〇 | 〇 | ||
キシレン | 〇 | 〇 | 〇 | ||
非芳香族炭化水素 | ヘキサン | 〇 | 〇 | 〇 | |
シクロヘキサン | 〇 | 〇 | 〇 | ||
流動パラフィン | 〇 | 〇 | 〇 |
記号の意味
○:使用可、適合 ×:使用不可 ー:データなし
PA:内層材(E-SV、E-PFN)
PVDF:内層材(E-PD、E-PDB)
ETFE:内層材(E-SJ、E-SJ-CBU、E-SJ-BK、E-SJV、E-SJB、E-SJSP、E-SJD、E-SJSD、E-PFF、E-PFFG)
注意事項:製品を安全にお使い頂くために各材料における耐薬品性を参考資料としてご参照ください。
- この耐薬品性一覧表の判断基準は一定の条件下で作成しています。判断基準が〇であっても使用条件によっては適さない場合があります。
- ホース内層材の耐薬品データとなります。使用条件によっては薬品がホース内層材を透過して内層材以外の樹脂の劣化、剥離の恐れがあります。設置前に十分にご確認ください。
有機溶剤封入後の劣化比較試験
目的
「プレッシャーホース」〔E-TB〕と「スーパー柔軟フッ素ホース」〔E-SJB〕のホース内に有機溶剤メチルエチルケトン(MEK)を封入し、封入後の劣化状態と耐圧性能の変化を確認する。
試料
プレッシャーホース〔E-TB-19〕(軟質塩化ビニル樹脂)
スーパー柔軟フッ素ホース〔E-SJB-19〕(内層:ETFE系フッ素樹脂)
試験結果
(1)劣化状態
E-TBは軟質塩化ビニル樹脂製のため耐溶剤性に乏しく、封入後1日で内外層の剥離や膨潤が発生し劣化した。
E-SJBは内層材に耐溶剤性に優れるETFE系フッ素樹脂を採用しているため、内外層の剥離や膨潤、その他劣化は確認されなかった。

(2)耐圧性能の変化
E-TBは封入日数が増えるにつれて耐圧性能が低下したが、E-SJBは封入後4週間経過後も耐圧性能の著しい低下は見られなかった。


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