食品用ホース
こだわりがある食品・飲料の搬送には、八興の食品ホースシリーズを推奨いたします。
柔軟性、使用温度範囲、耐圧性能、食品衛生法適合性だけでホースを選定することはリスクがあります。同じ食品適合ホースでも用途・目的別に様々な種類があります。
【食品・飲料用ホースのこだわりチェックポイント】
1.ホースの樹脂臭気が流体(食品・飲料)に移らないか?
2.軟質塩ビホースの場合、流体に対して可塑剤の影響は無いか?
3.流体の着色汚れなど、ホース内面に汚れが付きにくいか?
4.薬品洗浄、熱湯洗浄でホースが劣化しないか?
5.洗浄後にホースを目視チェックできる程度の透明さがあるか?
食品用ホースシリーズはホース両端に異物混入防止のため、PE製キャップを付与。
採用事例① KYサンフーズ 低臭気性
問題点:ホースの臭気が食品に移る。
お惣菜製造工場で、煮物を製造するのに軟質PVCホースでお湯を大釜に給水していた。
新しいホースで給水すると塩ビ樹脂の臭気が煮物に移ることがあり、ホース交換した際はお湯で何回もホースの中を洗浄し、樹脂臭気抜きをしていた。
八興からの提案・解決策
軟質PVCホースは、塩ビ特有の樹脂臭気があり、お湯やアルコールを流すことによって、ホース成分の可塑剤(ホースを柔らかくする化学物質)や安定剤が溶出するため、ホースの硬化や樹脂臭気移行の元になると説明、ホース自体に可塑剤を含まない、環境に優しい非塩ビホースのKYサンフーズ【E-KYS】を提案した。
KYサンフーズ【E-KYS】は、内層はオレフィン系樹脂を採用、溶出物質や、臭気の移行を抑えた設計でカビの原因にもなる可塑剤を使用しない食品用ホースのため、新しいホースに交換した際でも使用前に洗浄するだけで、樹脂臭気の問題も無く使用できた。
味覚・臭気は個人差があるため、抜本的な対策が実施できたことを喜んで頂いた。
●焼却しても有毒ガスの発生を抑えるエコロジーホースです。
●内層がオレフィン系樹脂のため、低溶出性と耐薬品性に優れます。
●食品衛生法・食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)に適合。(n-ヘプタン適合)
※「食品衛生法等の一部を改正する法律」(令和2年6月1日施行)およびポジティブリスト(PL)制度への適合につきましては、下記をご参照ください。
*改正食品衛生法(令和2年6月1日施行)について
●内径サイズ:φ6~50
【KYシリーズ 低溶出性データ】
項目 | KYシリーズ | 軟質塩ビチューブ | ポリエチレンチューブ | 定量下限 |
---|---|---|---|---|
非イオン界面活性剤 | 検出せず | 検出せず | 検出せず | 0.005mg/L |
フェノール類 | 検出せず | 26mg/L | 0.014mg/L | 0.0005mg/L |
有機物「全有機炭素(TOC)の量」 | 検出せず | 30mg/L | 検出せず | 0.3mg/L |
KYシリーズ(E-KYS、E-KYT、E-KYC)は、上記項目で優れた低溶出性が確認されています。 ※JIS S 3200-7:2004『水道用器具・浸出性能試験試験方法』による
ホースは接水面が大きいため、ホース材質によっては可塑剤・安定剤などが溶出する可能性があります。
上記データは、KYシリーズが塩ビホースに比べて低溶出であり、食品搬送に適していることを示しています。
一般塩ビホースは、不純物の溶出により、流体に異味・異臭が生じる可能性があります。クリーンなKYシリーズなら安心・安全です。
採用事例② 柔軟フッ素ホース 食用油・油脂への耐性
問題点:食用油でシリコーンホースがすぐ劣化する
ある食品工場A社は従来、食用油・油脂を流すラインで、シリコーンホースのフェルール継手加締め品を使用していた。
作業後の洗浄効率を考慮してフェルール継手加締めのシリコーンホースを採用したが、食用油を流すとシリコーンホースは膨潤劣化してしまい、約2ヶ月位でホース交換をしていた。
八興からの提案・解決策
耐油性に優れた柔軟フッ素フェルール加締め品を提案した。
柔軟フッ素ホース【E-PDB】は内層が2フッ化系フッ素樹脂の為、油脂に耐性がありホースの膨潤劣化はほとんど無い。
また、内層材のフッ素樹脂は非粘着性があるため、ホース内に付いた油の洗浄時間も短縮できた。
柔軟フッ素ホース【E-PDB】フェルール加締め品を採用して、ホースの寿命が延びただけでなく、洗浄時間の短縮にも効果があった。
【柔軟フッ素ホース フェルール継手加締品】
採用事例③ 自動給水機用 塩素含有水搬送
問題点:ホースにバイオフィルムが発生
業務用自動給水機(冷水が飲めるタイプ)メーカーのA社では、水道水を一度フィルターでろ過したあと、菌の繁殖を防ぐために微量の塩素を貯水タンクに入れている。
貯水タンクから吐水口までを軟質塩ビホースで配管していた。
夏場になると、吐出不良の不具合が多くでるため、機械を調査した結果、軟質塩ビホースの内側に糊のような付着物があり、それが剥がれて吐水不良を起こしていた。
付着物を調査したところ、バイオフィルムである事がわかった。水には殺菌目的で塩素も入れているためホースが怪しいということで、八興に相談があった。
八興からの提案・解決策
業務用給水機は、オフィスやお店で使用されるため、休みの間使われない事が多い。
塩素を入れた水でも、時間が経つと塩素が揮発して殺菌効果が少なくなる。
軟質塩ビホースは、ガスの透過が大きく、塩素が揮発しやすいため、長期間ホース内に滞留した水は殺菌効果が期待できない。
また、軟質塩ビホースの可塑剤が菌の栄養源となる。
八興のこれらの過去の知見より、大気中に浮遊する酵母や細菌類などが、給水機の吐水口から侵入、ホース内面に付着、ホースの可塑剤と水を栄養源としてホース内面で菌類がコロニーを形成、バイオフィルムとなり、吐水不良を引き起こしたと仮説を立てた。
八興から可塑剤を含まない、ガスバリアー性が高い柔軟フッ素ホースを提案した。
柔軟フッ素ホースの内層2フッ化系フッ素樹脂は、樹脂の中でもガスバリアー性に優れる樹脂である。また、可塑剤などの油成分を含まないホースのため、菌類の栄養源にならない飲料用に最適であることを説明、納得し採用された。
翌年の夏は柔軟フッ素ホースを採用した給水機の不具合は無くなった。
耐油性比較 柔軟フッ素ホースシリーズ vs 市販シリコーンホース
試験方法
●目的:
各試料の表面への油の浸出度合いを確認し、耐油性を比較すること。
●手順:
①各試料に植物性油を封入後、70℃恒温槽にて7 日間安置。
②封入した植物性油を試料から取り除いた後、油とり紙の上に60秒間安置。
③油とり紙への油の付着度合いを確認。
●試料(各200L)
・スーパー柔軟フッ素ホース(E-SJB-12)※内径φ12
・柔軟フッ素ホース(E-PDB-12)※内径φ12
・市販シリコーンホース ※内径φ12.7
試験結果
市販シリコーンホースは油の浸出があり、不衛生な状態であることを確認。
一方、八興の柔軟フッ素ホースシリーズは油の浸出がなく、クリーン。
ホース表面の拡大図でも、八興の柔軟フッ素ホースシリーズは油脂・油の浸出が無いことを目視できた。
一方、市販シリコーンホースは、表面にぬるぬるとした油脂・油が浸出していた。
「油がホース表面に浸出し、べとべとになってしまう」「コンタミリスク」「ホース膨潤による継手抜け」等、
食用油・油脂の搬送に関するお困りごとを、八興の柔軟フッ素ホースシリーズで解決することができます。
【柔軟フッ素ホースシリーズ 非粘着性データ】
※表中「樹脂」
4フッ化系フッ素樹脂(ETFE系)=スーパー柔軟フッ素ホースシリーズの内層
2フッ化系フッ素樹脂(PVDF系)=柔軟フッ素ホースシリーズの内層
改正食品衛生法
改正食品衛生法(令和2年6月1日施行)についてのご案内ページです。
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